武道と健康

縄飛び withタダーサナ ~体幹と前鋸筋の強化~

ボクシング世界チャンピオンでも欠かせない練習メニューである、縄跳びは有酸素運動による持久力強化と減量効果のみならず、体幹強化、打撃に使う前鋸筋と手首の強化、姿勢制御に関わる脊柱起立筋、多裂筋といった筋肉の強化も行える万能運動です。

しかし、漠然とただ跳ねるだけではそのような効果を十分に得る事はできません。また、普段運動をしない方や高齢の方が漫然と行うと身体を痛めるリスクもあります。

そこで本記事では縄跳びのトレーニング効果を高める、ヨガの基本立位タダーサナ※の要素を加味した縄跳びのやり方を、怪我リスク低減に繋がる姿勢や意識と合わせて紹介します。

※:タダーサナ(山のポーズ)とはヨガの直立位ポーズ。詳細はこちらの記事で紹介中。

縄跳びwithタダーサナ意識するポイント

縄跳び

足裏:親指付け根と小指付け根にかかる力を均等に

跳ぶ時、着地する時は親指側、小指側の双方に均等に圧がかかるよう足裏感覚に意識を向けて跳びましょう。かかとは地面につけませんが、地面とかかとの間に空気の層があるのをイメージ、その空気の層に着地し、地面を踏みしめている感覚で行うとさらに効果。

膝:爪先と共に正面に向ける

ガニ股、内股にならないよう、爪先と膝は正面向きをキープ。爪先と膝の向きを揃える事で体重を支える骨格の自然な配置となるので、膝や足首の怪我リスクも低減します。足を揃えるのが難しい方は足を腰幅程度に開いて行いましょう

太もも:太ももを内側回して臀部の緊張を解く

身体をガチガチに固めて跳躍を繰り返すと、身体の各部に衝撃によるダメージが蓄積されます。太ももを内側に回す(内旋)する事で、お尻の緊張が軽減され、柔らかくなり、縄跳び時にかかる腰への負担を減らす事ができます。 腰の悪い方は意識してみましょう。

骨盤:前傾も後傾もさせず中立位(腰を反らさず行う)

骨盤ニュートラル

左右の腰骨、恥骨の三点で形成される面を地面に対して垂直に保ち、腰をそらさないようにして跳びましょう。

骨盤が前に倒れると腰がそり、背骨が湾曲して腰椎(背骨の腰の辺り)に力が集まりやすくなります。そのままジャンプを繰り返すと腰を痛める恐れがあるので、骨盤は倒さない、腰をそらさないように意識。

お腹の奥に力を入れ、恥骨、尾骨を下に向けるよう筋肉を使って骨盤位置を維持し続ける事で体幹とお尻の筋肉が鍛えられます。左右の腰骨の高さを合わせる事にも意識を向けましょう。

背骨:真っすぐ伸ばす

脊柱起立筋

背骨を真っ直ぐ保つ意識をもって跳ぶ事により、脊柱起立筋という、名前の通り背骨を立たせる筋肉を鍛える事ができます。

同時に多裂筋と呼ばれる背骨を回したり傾けたり、動きを制御する働きを持った筋肉も使われるため、姿勢制御が上手くなる効果も見込まれます。背骨が真っ直ぐの軸となり、その軸が前後左右に傾く事なく、上下に淡々と動くイメージで行うと効果的※

※:背骨が真っすぐな状態は、S字カーブを描いている時より着地時の衝撃が吸収されにくくなるため、着地時は少し緩めてもOK。体に無理のない範囲で行いましょう。

肩と肩甲骨:脇を顔の方向に回しつつ前鋸筋引き締め

肩先を顔に向けるように肩をすぼめると首が詰まり、跳躍による衝撃が首に溜まります。脇を顔の方に向けるように肩関節を回す動き(外旋)を行うと、首が長く保ちやすくなるので、肩関節の外旋をキープしながら行いましょう。

肩関節を外旋しつつ、肘を体側につけるように脇をしめつつ縄を回す事で、前鋸筋と呼ばれる肩甲骨から肋骨に繋がる筋肉(下図)が鍛えられます。前鋸筋が使える様になると、肩甲骨を使って腕を操作する感覚が磨かれるため、スポーツ、格闘技のみならず、あらゆる腕を使った動作の力強さと精度が向上します。前鋸筋を制するものは上体を制す!

首:頭頂を天に伸ばす

脇をしめることに意識が向き過ぎたり、スタミナが無くなったりしてくるとアゴが上がり、胸もそりがち。こうなると頚椎(背骨の首の辺り)に力が集まりやすくなるので、首を痛めるリスクがあります。

首は真っ直ぐを保ちましょう。胸の真ん中にネクタイの様に存在する胸骨が真っ直ぐになる様にイメージし、胸をそらさないように意識。頭頂を天に向け続けるイメージも有効です。

意識するポイントまとめ

  • 足裏:親指付け根と小指付け根にかかる力を均等に
  • 膝:爪先と共に正面に向ける
  • 太もも:太ももを内側回して臀部の緊張を解く
  • 骨盤:前傾も後傾もさせず中立位(腰を反らさず行う)
  • 背骨:真っすぐ伸ばす
  • 肩と肩甲骨:脇を顔の方向に回しつつ、前鋸筋引き締め
  • 首:頭頂を天に伸ばす

簡単な動きでも意識を変えるだけで、十分なトレーニング効果、健康増進効果を得る事ができます。またシンプル故に身体感覚に意識を向けやすく、感覚強化トレーニングとしても効果大。縄跳びはシンプルながら万能の運動。一日二、三分から始めても効果あり。早速はじめてみましょう!

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