健康体操

肺活量を増やすストレッチ

肺活量を増やすストレッチ

通常の呼吸で肺を出入りする空気の量は約500ml。対して肺活量は成人男性で4000~4500ml、女性で3,000~4,000ml程度と言われています。日常生活では肺の機能を十分に使っていないのです。

一方、人体は使わない機能は衰えるようにできています。運動習慣なく、肺の機能をフルに使わない生活が続けば、肺機能は年齢とともに衰え、呼吸機能が低下していきます

とはいえ激しい運動や特殊な呼吸法は骨が折れ、継続するのが難しい。そこで本記事ではヨガポーズを利用した肺活量を増やすための胸郭ストレッチ、呼吸の主動筋たる横隔膜を活性化させるストレッチ運動を紹介します。

胸郭ストレッチと肩関節

呼吸の際、主に使われる筋肉は肋骨の間にある肋間筋と横隔膜。肋間筋を使用して胸を収縮させて行う呼吸は中部呼吸、横隔膜を使用してお腹を収縮させて行う呼吸は下部呼吸と呼ばれています。

中部呼吸の量を増やすには、首と胸椎を伸ばすのが効果的。肋間筋が広がりやすくなり、中部呼吸で取り込める空気の量が増えます。そして首と胸椎を伸ばすには、肩関節の外旋がポイント。(外旋:脇を体側に向けるように二の腕腕を回す方向に回す動き)

本節では肩関節外旋と胸郭の柔軟性を向上させる、ウールドヴァ・ハスターサナを使ったストレッチを紹介します。

ウールドヴァ・ハスターサナ with ブロック

ウールドヴァ・ハスターサナは真っすぐ立った状態から両手を天へ上げるヨガのポーズ。しかしただ腕を上げるだけではストレッチ効果なし。尾骨を地面に向け、腰と背を反らさず、腕の間隔を一定に保ったまま肩関節を外旋させて行います。

やり方は下記の通り。両手にヨガブロック、またはティッシュ箱等を挟んで行うとやりやすくなります。

やり方

ウールドヴァ・ハスターサナwithブロック
  • 両手の親指、小指でブロックを挟み、残り三本の指はブロックに沿わせる
  • 腰が反らないよう腹圧を高めながら、両手を上げていく
  • 腰が反る手前のポイントで、肩関節を外旋(脇を顔方向に向ける)
  • 肘から先を曲げて体の後方へ(肘は開かないよう注意)
  • 胸に吸えるだけ空気を吸って、肋骨を広げる
  • ポーズを維持したまま数呼吸繰り返す
  • 肘を伸ばし、手を下げて最初の姿勢に戻る

 

意識するポイント

骨盤が傾かないように、尾骨を地面に向け続けましょう。背骨の土台である骨盤が傾くと、胸椎と首を真っすぐに保ちづらくなります。

息を吸い込んだ際、お腹が前に突き出ないように注意。肋間筋を使って肺を広げる意識で行いましょう。

横隔膜のストレッチ

お腹を収縮させて行う腹式呼吸は下部呼吸とも呼ばれます。下部呼吸で息を吸った際にお腹が膨むのは下がってきた横隔膜が内臓を押し出すため、息を吐いた際にお腹が凹むのは横隔膜が上に戻って内臓が収まっている空間が凹むためです。

横隔膜の柔軟性が高まると、横隔膜の動きに対する感覚がつかめると同時に、下部呼吸量が増加します。本節では、重力と内臓の重さを使って横隔膜の柔軟性を高める動きを紹介します。

セツバンダーサナ with クンバカ

セツバンダーサナは膝を立てて横たわった状態から、足裏で地面を押して上体を持ち上げショートブリッジになった後、肩関節を外旋させ、腕を組んで姿勢を維持するヨガのポーズ。

クンバカとは止息。呼う息と吐く息の間に一時的に息を止める行為を指します。本節ではセツバンダーサナとクンバカ、そして重力と内臓の重さを組みわせる事で、横隔膜の柔軟性を向上させる動きを紹介します。

やり方

セツバンダーサナwithクンバカ
  • 膝を立てて仰向けになり、足を腰幅程度に開く
  • 腕は体側、掌は地面に着ける
  • 息を吐きながら、足裏で床を押して上体を持ち上げる
  • 息を吐ききった時点で、上体が最大高さとなるように呼吸をコントロール
  • 上体が最大高さまで来たら息を止め1秒停止
  • 息を止めたまま、ゆっくり背骨を上から一本ずつ降ろしていく
  • 腰まで床に突いたら、大きく息を吸って下腹部を膨らませる

 

意識するポイント

上体が最大高さまで来た際、重力と内臓の重さで横隔膜が上体側へ押し込まれているのを感じながら行ってみましょう。そして上体を持ち上げた際は腰が反らないように注意。骨盤を傾けず、尾骨は膝方向へ向けるようにしましょう。腰が反った状態で行うと腰痛に繋がるリスクがあります。

脱力と柔軟の健康体操

身体が脱力でき、柔軟性が向上するとそれだけで呼吸が深く、ゆったりとしたものに変化します。拙著『年齢に負けない体づくり”参” 脱力と柔軟の健康体操』では、古武道とヨガ由来の脱力と柔軟の健康体操を紹介しています。健康維持に是非ご覧ください。肺活量を増やして、一生健やかな呼吸を続けましょう!


年齢に負けない体づくり”参” 脱力と柔軟の健康体操