本屋に行くと筋トレの本がずらり。昔は鍛えたい部分に応じた筋トレが紹介されている本が大半を占めていましたが、最近では筋トレの動きでも全身をバランスよく使う、体幹を意識する、脳の機能を活性化させるといった内容のトレーニング方法を紹介する書籍も相当数見かけるようになってきました。
新しく力をつけるのではなく、元々持っている力を全て引き出せるようにする。そういった方向にトレーニング方法が進んでいるのかもしれません。この思想は古武道の世界では綿々と伝承されてきた思想。本記事では腕立て伏せであって、腕立て伏せでないトレーニング方法、軸立て伏せについて紹介します。
筋トレの腕立て伏せと、感覚強化の軸立て伏せ
通常の腕立て伏せでは、鍛える筋肉、すわわち腕や胸の筋肉に意識を注ぎます。お尻が上に突き出たり、へっぴり腰にならないよう姿勢を制御してはいますが、通常は腕力を強化するために行うので、そちらは腕のおまけとったところ。
対して軸立て伏せでは、腕の感覚がおまけで、肩甲骨、骨盤、背骨(中心軸)に意識を向け、あたかも一本の棒が一定のスピードで上下に揺れるかの如く動くことを意識します。
筋力が弱い時期はどうしても腕に意識が奪われてしまい、変な癖がつくので最初は下記のように壁を使って立ったまま感覚を養いましょう。
【軸立て伏せのやり方】

- 両腕を肩幅か少し広い程度に開いて床と平行になるよう前に伸ばす
- 壁に手をついた時、体の軸が床に対いて垂直となる位置に立つ
- 体が壁の中に吸い込まれるイメージをしながら軸を一定速度でゆっくり傾ける
- 額の中心で壁にそっと触れてコンマ数秒の一体感を味わう
- 一定速度で軸をもとの位置に戻していく
- ※:骨盤、肩甲骨、背骨の位置関係を意識して体の面がねじれないよう注意しましょう
軸立て伏せ時に意識を向ける部位
肩甲骨は上腕の方向とできるだけ同じ方向を向くように心がけるましょう。背中、鎖骨を左右に広げ、胸をすぼめるようなイメージで行うとやりやすくなります(含胸抜背:がんきょうばっぱい)。
骨盤はお尻の穴を地面に向けて背骨の下側、腰椎が一直線になるように心がげましょう。下腹の筋肉で骨盤を引き上げるイメージです(尾閭中正:びろちゅうせい)
背骨全体は常に真っすぐ、頚椎(首の骨)は縮こめることなく長く保つよう意識しましょう(虚領頂勁:きょれいちょうけい)
左右均等に体重がかかっているか?軸や体の面が歪んでいないか?体の状態をモニタリングしながらゆっくり行うことで、身体感覚を磨くこともできます。そして床と自分の体の間にある空気の温度や感触を感じながら行うことで、空間感覚も磨かれます。軸立ての動きに余裕が生まれてきたら試してみましょう。
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