合気と武道の稽古法

歳を取っても動ける体づくり6「肩甲骨体操」

肩甲骨

両腕を自由自在に操って複雑な動作が出来るのは人間だけです。そして両腕の動作の精度と力強さは、肩の土台となる肩甲骨の状態によって大きく左右されます。

肩甲骨は重く大きい骨です。上腕骨と適切な位置関係にないと、腕のスムーズな運動を阻害してしまう恐れがあります。

そして肩甲骨には非常に多くの筋肉が繋がっています。肩甲骨が動かないという事は、背中の広い範囲にまたがって存在する多くの筋肉が固まっているという事。放置していると背中や肩のコリに繋がっていきます。

肩甲骨と骨格 肩甲骨周囲の筋肉

PRiCO(ぷりこ)さんによるイラストACからのイラスト

 

更に、肩甲骨は股関節とも連動しています。肩甲骨周りの筋肉が固まると、背骨の両側にある交感神経幹が緊張して交感神経優位の状態になり、血管が収縮するので、股関節や膝の血流が悪くなるのです。

かくも重要な肩甲骨。意図的に動かす事で全身の健康増進、身体動作の精度向上に大きな効果をもたらしてくれます。本記事では、体力や筋力がなくてもできる肩甲骨体操を紹介します。

肩甲骨体操

体操準備・背骨を整える

土台であり幹となる背骨の緊張を取って、位置を整えてから肩甲骨を動かしましょう。

【やり方】

  • 脚は楽な姿勢で組み、お尻の肉を外側に開き、坐骨が床に均等に着くように座る。
  • 骨盤を立て、頭頂を天に向け、背骨を下から一本ずつユラユラ横に揺らす。
  • 背骨全体をしばらく揺らして体が解きほぐれていく感覚を味わう。
  • 真ん中で動きを止めて深呼吸。吸う時は頭頂から空気が入って、背骨を通って下腹に溜まるイメージ、吐く時は背骨を通って頭頂から出て行くイメージで行う。

【効果】

  • 体の中心軸を整え、姿勢を自然な形に戻していく効果があります。

 

肩甲骨回し

【やり方】

  • 肩を前から後に回しての耳の下に持ってくる。肩甲骨を動かす事で肩を回す意識で行う。
  • ストンと重力で肩甲骨を落とす。
  • 何度か繰り返したら逆回し
  • 肩を後から前に回して耳の下に持ってきた後、重力でストンと肩甲骨を落とす。

【効果】

  • 背中全体をほぐす効果があります。

 

肩甲骨の上げ下げ

【やり方】

  • 肩をすぼめて肩甲骨を引き上げる
  • 背骨と背骨の間隔が1mmでも長くなるように、背骨も伸ばす
  • 脱力し、重力に任せて肩甲骨をストンと落とす。

【効果】

  • 背中全体をほぐす効果があります。

 

肩甲骨の開閉

【やり方】

  • 息を吸いながら両腕を開いて肩甲骨を閉じ、胸を斜め上に持ち上げる。視線は斜め上。
  • 息を吐きながらボールを抱える様にして、肩甲骨を開き背中を少し丸める。視線はボールの中心。

【効果】

  • 肩甲骨の自由度が増すと、肋骨の動きもスムーズになるので、呼吸を深くする事が出来るようになっていきます。

 

腕伸ばし

【やり方】

  • 肩甲骨を回す意識で腕を外側から回して上げる。
  • 両手を組んで真上に引き上げる。肩甲骨と背骨が上昇するイメージ。視線は天井。
  • 脱力して手を膝上に落とす。
  • ニ、三回繰り返す
  • 肩甲骨を回す意識で腕を外側から回して上げる。
  • 右手で左手首を掴んで上に伸ばす。
  • 体を少し右に傾けて、左側面を伸ばす。視線は斜め上。
  • 体を倒すのではなく、左腕、脇、腰を斜め上に伸ばす意識で行う。
  • 深い呼吸を数回行ったら元の位置に戻り、腕を変えて反対側も同様に行う。

【効果】

  • 背骨の緊張をほぐして体の軸を整えると共に、肩甲骨周りを緩めて呼吸を深めます。

 

肩すぼめ首回し

【やり方】

  • 肩甲骨を引き上げて、肩をすぼめ、耳に近づける。
  • その状態をキープしたままゆっくり首を回す。

【効果】

  • 肩をすぼめて行う事で、首の骨にかかる負荷を軽減し、怪我のリスクを低減する事が出来ます。そして普段とは違った筋肉の使い方をするので、使われずに固まってしまった部分を解す効果も見込まれます。

 

おまけ・首のストレッチ

首後ろ伸ばし

  • 後頭部に両手を添えて、脱力し手と頭の重さだけで頭を前に倒す。
  • 背骨まで伸びるのを感じつつ、数回深い呼吸を繰り返す
  • 息を吸いながら元の位置に戻る

 

首前側伸ばし

  • 鎖骨の下に両手を添えて皮を下に引っ張る
  • アゴを斜め上に伸ばして首の前を伸ばす。
  • 数回深い呼吸をしたら、息を吸いながら元の位置に戻る

身体感覚を磨く+αのイメージ(中級者向け)

肩甲骨体操を行う際、胸の中心に拳より一回り小さい球体があり、腕の付け根がその球体に繋がっていると想像します。そして球体が肩甲骨と腕を動かしているとイメージして動かしてみましょう。

体の中心から腕や末端を動かす感覚、全身を使って腕を動かす感覚を養うことが出来ます。

両腕の動きを完全に調和させて動かす意識で行う事でと、身体感覚を養う効果が増加します。左右の筋力差、骨格のゆがみなどが影響してくるので、思っている以上に左右の動きを完全に一致させる動作は難しいです。体の声を聴きながら行ってみましょう。

なお胸の中心にイメージする球体は、武道の世界では中丹田、ヨガの世界では第四チャクラ(アナハタチャクラ、ハートチャクラ)と呼ばれており、調和と深い関連があるとされています。

第四チャクラ
uatelierさんによるイラストACからのイラスト

気やオーラが存在するか否かに関係なく、イメージする事で動きの質は変化します。筋トレをする際に理想の体をイメージしながら行うだけで効果が上がる事は科学的に証明されています。動きの質も然り。中丹田を意識しながら両腕と肩甲骨を動かして、全身の動きを調和させる感覚を養いましょう。

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