合気と武道の稽古法

合気道の奥義「呼吸力」の鍛錬法

ぶら下がり健康法

「曰く!合気道は気の流れ、呼吸力、螺旋形、これだけ!」井口師範は常々こう仰っていたそうです。

呼吸力とは固定力。小手返しや三教といった手首を狙う技の際、合気道では手首を掴むのではなく引っ掛けるようにして技をかけます。掴んでしまうと自分と相手は分離してしまいますが、引っ掛けるように固定すると自分と相手が一体となったような感覚となります。

呼吸力とは統一する力であり、力を統一する事でもあります。本記事では合気道の奥義である呼吸力の鍛え方の一つを紹介します。同時に広背筋、前鋸筋も鍛える事ができるので、打撃力強化にも役立つ鍛錬法です。

呼吸力の鍛え方

鉄棒などに指先を引っ掛けてぶら下がる。終わったら逆方向に手のひらを固く張る。たったこれだけの事ですが、三点意識する事でトレーニング効果が大幅にアップします。

ポイント1. 指先を引っ掛ける

掴んでぶら下がると握力が鍛えられますが、呼吸力を鍛える時は掴まずに引っかかって、指の骨に力が流れるのをイメージしてみましょう。指の骨(中手骨)は手のひらの奥まで続いています(下図)。この五本の骨を意識して鋼のように固めつつ、その中には光が流れるようなイメージも有効です。

手の骨_1188287

ポイント2. 肩を地面と水平にする

ぶら下がる時、だらんと力を抜ききってぶら下がると肩が腕の方向に伸びきってしまい、肩関節を痛めてしまう恐れがあります。

肩関節は肩甲骨から繋がっている4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)末端の腱によって囲まれています。力を入れずにぶら下がってしまうと、これらの腱が伸びきった状態になってしまうので、筋肉によって方が保護できなくなるので肩を痛める恐れがあるのです。

肩を痛めないよう、下図のように肩に力を入れて肩と首の付け根を結んだ線が地面と平行となるよう肩を引きつけてぶら下がりましょう。

ぶら下がりj

肩を引きつける際は下記の筋肉を意識すると、上半身の広範囲を同時に鍛錬することが出来ます。広背筋は懸垂の際に体を持ち上げる時に使う筋肉、前鋸筋は肩甲骨の位置を調整する筋肉の一つです。

広背筋と前鋸筋

指先で引っかかるだけでも、骨格と筋肉の状態、重力のかかり方を意識するだけで高密度のトレーニングとなり身体感覚も磨かれます。鉄棒を見かけたら早速ぶら下がってみましょう。

ポイント3. 腕は耳の真横を通す

横から見た際、肩と耳の位置が前後にずれておらず重力線上に並び、肩甲骨、骨盤も同一線上に位置する骨格位置が自然な位置です。左右の肩甲骨は同じ高さになるように意識しつつ、骨盤は左右に傾かないよう下半身の力を抜いて重力に調整してもらいましょう。

井口師範曰く「合気道するには合気道の身体にならないとあかんのや。合気道の身体になったら、肩の位置がどれぐらい大切かわかるんや。何故かっていうたら、気の流れがわかったら肩はあるべき位置になければならないということが分かるからや」

肩甲骨の位置を意識してぶらさがってみましょう。

 

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内容

  • 体幹を鍛える壁押しの行
  • 腹筋を引き締める呼吸法
  • 重力に負けない美尻を作るバランス立ち
  • 第二・第段の軸を作るナンバ歩きと片腕プランク
  • 呼吸力を鍛えるぶら下がり