曰く!これだけ!~井口流合気道の秘伝と雑記〜

謎の達人より学びし井口流合気道の秘伝をちょびっとだけ公開しています。

合気道家がカポエイラに浮気して3つの軸に気が付いた件

ブラジルの格闘技カポエイラを体験してきました。カポエイラを一言で言うなら「舞う格闘技」。試合はなく音楽のリズムに合わせて互いに技を出し、避け、体で対話する。体幹とバランス感覚が鍛えられ、エクササイズ効果も高い格闘技です。

 

体験を通じて、合気道家が重視していて不可知の突きを打つ際に使用する3つの軸をカポエイラでも活用している事を知ったので紹介します。

 

【参考記事】3つの軸について

www.iguchiryu-aikido.com

 

ブラジル ジンガの中に日本のナンバ歩きを見た

カポエイラの基礎ステップであるジンガ。大きく足を開いて立ち、片脚を後ろに引いて三角形を描くようなステップを踏みます。この時引いた足と同じ側の手を顔の前に構えて防御の姿勢を取ります(下図)。

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ジンガは全ての基礎であると共に奥義であり神髄!と漫画バトゥーキで読んだのですが意味が分かりました。

 

ジンガがうまくできない方に対して、身体をひねらず身体の中心だけでなく左右にも2本軸がある事を意識して、左右の軸を維持したままステップを踏んでみるようにとのアドバイス。軸を意識すると見違えるようなステップになっていました。

 

私たちは普段歩くとき体をひねるように使います。ところがジンガはひねならいのです。体をひねらないと人体が力を発揮しやすい空間線である3つの軸がぶれないので、体を上手に使う事ができます。そして相手からは初動が見えづらくなります。

 

西洋文化を取り入れ出した明治維新以前の日本人はナンバ歩きといって、同じ側の腕と足を出す歩き方だったそうです。ナンバ歩きもジンガ同様に3つの軸をぶらしません。

 

なお準備体操では四つん這いでハイハイを行ったのですが、この時も同じ側の手足を動かすやり方でした。

 

身体を左右に分離して使う事でパフォーマンスが向上する事に関しては、武道家であり人体のプロフェッショナルである高岡英夫先生も「割体」という表現で紹介しています。やはり突き詰めると本質的な動きは様々な分野で共通するのですね。

 

軸を入れ替えなず放つ蹴りは感知しづらい

体験では2つの蹴りを教えてもらいました。その一つケイシャーダ(内回し蹴り)も軸を平行移動させて放つので見えづらい蹴りでした。

 

後足を引き寄せた後、上体をひねる力で前足を旋回させて放ちます。上体はひねるものの3つの軸はねじらない様に放ちます。

 

もう一つはメイアルーア・ジ・コンパッソ。コンパスの針のように片脚を支点にして回転して放つ蹴りです。

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少々複雑な動きなのですが、体験ではゴム紐をまたぐようにして下記のように一つずつ動作を分解して教えてくださったので、皆さん上手くできていました。

 

 【メイアルーア・ジ・コンパッソの練習方法】

  1. 後足側でゴム紐をまたぐ
  2. 両手を床につく
  3. 残してきた足を振り上げる

 

ゴム紐を境界線として意識する事で左右の軸が分離して意識しやすくなるのでやりやすくなっていました。

 

初のカポエイラ体験。合気道や日本の武道との共通点が垣間見えて、非常に興味深く面白い体験をすることができました。

 

 

人体を効率よく使うには?

曰く!3本の軸!これだけ!

 

 

カポエイラについて

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16世紀頃、ブラジルに連れてこられたアフリカの黒人奴隷が、支配者に対抗するべく身に着けた技が起源と言われています。

 

舞いの要素が生まれたのは、支配者が自分達への抵抗の手段を封じるために格闘技の練習にすら刑罰を科すようになった事がきっかけ。奴隷たちはカポエイラの動きを音楽にのせ舞いに見せかけたのです。

 

カポエイラは実戦的であったが故に、奴隷解放後の19世紀にはギャングによって犯罪や喧嘩に用いてられていました。しかしそれが原因で再び禁止されるという暗黒時代に。

 

日の目を見る事になったのはメストレ・ビンバという一人の男の功績によるものです。彼はカポエイラを体系化して道場を設立し、通常の格闘技や武道と同じものだと知らしめる活動を行いました。

 

ビンバの活動によってカポエイラは犯罪に関わるものというイメージが払拭され、2014年11月にはユネスコによって無形文化遺産に登録されるまでに至ったのでした。

 

今では地球の裏側、日本でも習う事ができるようになっています。

 

おまけ カポエイラと合気道

体験で指導してくれた先生によると、かつてのカポエイラは実戦主義で投げ技や頭突きなども行っていたそうですが、近年はテクニックや美しさを重視する方向に移行していているとの事。

 

その結果、ダンスとエクササイズの要素が強くなってきて参加者は増えてきているそうです。

 

カポエイラには身体の使い方を学び己の身体と対話する事、幻惑的な動きで戦う流派がある事etc... と合気道に共通する要素が多々あり、とても好きな格闘技です。

 

静的な合気道、動的なカポエイラ。もっと知られて流行ってくれると嬉しく思います。