曰く!これだけ!~井口流合気道の秘伝と雑記〜

井口流合気道の技や考え方を紹介しています。

石の上に三年、読書百遍意自ずから通ず

1. 分かるまで三年、言語化に十年

先日、門下生の一人が一級の昇級試験に合格しました。試験に立ち会って、ようやく目で見て師匠との違い、技のポイントが抑えられているか?秘伝が正しく使われているか?が分かるようになっている事に気が付きました。

道場稽古約三年。懇切丁寧に秘伝の理を教わっても、身体と頭の両方で理解するには三年はかかるようです。しかし論理的な言語化ができるようになるには、十年くらいかかりそうです。

 

昇級試験後の稽古で、陽の三式(重心が下方へ移動するエネルギーを活用した技)を使った崩しを行いました。そこで門下生が「なぜこの動きにはあらがえないのか?なぜ効くのか?」と聞いてきました。咄嗟にできてきた答えは「自然だから」でした。

合気道は魔術ではないので技に理が存在します。しかし、端的に技を述べると「自然だから」につきるのです。

 

昔は師匠に「単純ですよ。」とか「これだけ。余計なことはしない。」とか言われても、頭のどこかにひっかかりがありました。ところが最近は「気の流れ」といった一言でも、なるほど!とすっと腑に落ちるように。

大量の情報を自分の中で統合できるようになるまでには、やはり時間が必要だったのだなぁと実感しています。そして本質を言葉で伝えるのは本当に難しい。禅の四聖句である教外別伝、不立文字はやはり的を射ていると思います。

 

 

ちなみに我々30代の世代では、「仕事は辞めたくなっても三年は続けた方がいい。」とよく言われていました。「理解できない。」「理不尽なシステムだ。」と思う事も実は三年続けると奥に潜む意味が分かるのかもしれませんね。(※:ブラックは論外なので三年待たず即刻退避しましょう。)

 

 

2. 時間経過による枝葉の統合

技に型無し。合気道の技は一期一会。瞬間瞬間の相手の状態によって適切な動きは異なる。故に稽古では一教と呼ばれる技を一つとっても様々なパターンを習いました。

受け取りの体格差に応じても最適解が変わるので、稽古のたびに混乱する時期もありました。しかし膨大なパターンを身体に流していた事が、年月を経て活きてくるようになってきました。

 

我々の流派で使う秘伝の一つに、皮取りと呼ばれる技があります。加えられている力を正しく感知させず、出すべき力の方向を混乱させる技法です。

そして皮取に対するカウンターも存在します。お遊びでそれを行っていたところ、カウンターに対するカウンターを思いついき、試してみたところ上手くハマりました。その際、「自力で技を閃いた!」と思ったのですが、実は二年前くらいに師匠が一度だけ見せてくれていた技だったそうです。

記憶領域の深い所に眠っていた技と枝が結びついて顕現できたのでしょう。数は力になる。様々なことを経験する事の重要性を再認識した瞬間でした。

1つを突き詰めて深く理解する事も重要なれど、分からないなりに数多くの動きを身体に流してあげる事も重要であると痛感しています。読書百遍意自ずから意通ず。昔の人は良いことを言いますね。

 

3.  何か一つをそれなりに習得、理解するには

曰く!点を集め、時の力にゆだねる!これだけ!