護身術:攻撃

合気道の足運び 前方へ落下する「足の三角」

合気道式の足運びは身体のバネを使いません。使うのは重力と骨格構造。本記事では重力を利用する事で大きな力を相手に伝え、しかも初動が感知されにくい足運び「足の三角」について紹介します。

筋力がないなら重力を使えばいい

IAM護身術では重心が移動して発生したエネルギーを移動方向と順方向に伝える技術、陽の技術を最初に習います。この技術は合気道で相手を崩す時、運ぶ時、当身を放つ時etc…、あらゆるところで使われている基礎技法です。

陽の技術は筋力に依存せず大きな力を作れるのが特徴であり、その力の源は体重です。自分の体重と同じ重さの鉄塊をイメージしてみてください。これが急に倒れてきたら…?くるくる回転していたら…? 体重の持てる力をフルに活用するのです。

しかし、身体に力が入って固まった状態では重さを効率よく相手に伝える事ができません。そこで前方に移動する際は、素早くステップインしようと足の筋肉を使うのではなく、前方へ落下します。それが「足の三角」を使った足運びです。

足の三角を使った歩み(基礎編)

  1. 母指球(足の親指の付け根)、かかと中央、膝を結んだ三角の面をイメージ
  2. 母指球とかかとを結んだ線が、進行方向に対して垂直になるよう足裏を地面に付ける。
  3. 母指球―かかとの線を軸にして頂点のかかとを前に倒す(三角を倒す)
  4. 身体が自然に前に倒れるのにつられるようにして前足を動かす
  5. 移動後は後足を引く(陰陽の足運び)

ポイントは重力に従って自然に体を倒していくことです。上手くできた時は、地面を滑っている感覚、落下している感覚が得られて心地よさがあります。へそ下3~4cmの位置球体(下丹田)をイメージしてそれを骨盤で運ぶ意識で歩む事でスムーズにできるようになるので試してみましょう。この足運びは身体に力みを生じさせないので相手が初動が感知しにくくなるという利点もあります。

ちなみに昭和の名横綱、史上最長の69連勝を記録した双葉山は、かかとを浮かさずに相撲を取っていたそうです。前方に重心移動する際は足内側のエッジを使い、腰に足を引きつける動きであったとか。もしかしたら共通する技術なのかもしれません。

足の三角でバランス感覚が養われる

重力に従って前方に落下していく為には脱力が必要不可欠です。力むと交感神経が優位な状態になります。この状態は動物が獲物を狙ったり、脅威に注意を向けている状態に酷似しています。

特定の対象に集中するのに適した状態ですが、重力感じて最適な体のバランスを導き出すには全体を俯瞰する必要があります。これには副交感神経が優位な状態、つまりリラックスした状態の方が適しています。ふわふわと落ち葉が舞うように、軽やかに動く意識で行いましょう。

力を使おうと意識しなうくても、つんのめってこけてしまわないのは体の深層にある筋肉群がバランスを取るために自然に働いてくれているからです。これら深層筋が使えるようになってくると体の安定性が向上し姿勢も良くなります。

合気道をはじめとした古武道の動きは、表層の大きな筋肉より内側の隠れた筋肉を使う動きが多く存在します。足の三角の稽古で見えない身体を鍛えましょう。

足の三角を使った体幹稽古

IAM護身術の基礎稽古に相手と押し合う稽古があります。この時、肩や腕に無駄な力は入れす、足も踏ん張るのではなく、ただ膝を倒していくことを意識します。力で押すのではなく身体の重さを相手の流すイメージです。

さらに、肩を内側に巻き込むイメージで肩甲骨を進行方向対して立てて、骨盤を後傾(お尻の穴を地面に向ける)事で強固な骨格構造を形成する事で、より力を効率よく伝えることが出来るようになります。

この骨格構造を作った状態で、壁に手をついて、足の三角を形成、膝を倒して壁からの反作用を感じるという稽古を行う事で体幹も鍛えられます。

壁押しのコツについては、拙著『年齢に負けない体づくり “弐”  古武道由来の体を引き締める鍛錬法 』で詳しく触れています。一読いただけると幸いです。

足の三角を使った足運びとは?

曰く!前方落下!これだけ!

参考書籍

足の三角からシンプルな動きで強烈な打撃を放つ方法を下記書籍にて紹介中。その他にも掴まれた腕を振りほどく護身術、身を護るために相手と距離を取るための牽制方法など、シンプルで筋力や運動神経がなくてもできる護身術を紹介しています。


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