護身術:攻撃

【合気道】体重差を覆す技法 作用反作用を利用した”陰の技術”

重心移動のエネルギーを効率よく活用する技法において、重心移動の方向と伝えるエネルギーの方向を一致させて技術を「陽の技術」と呼びます。全ては陰と陽。陽の技術があるなら陰の技術も当然存在します。今回は「陰の技術」について紹介します。

陰の技術=作用反作用

陰の技術は作用反作用の法則(物を押せばそれと同じ力で物が押し返してくるという物理の基本原則)を用いて、全体重が移動したエネルギーの反作用をそのまま相手に伝える技術であり、陽の技術と同じく、一式から四式まであります。

  • 一式:腰を後ろに引いて腕を前に打ち出す(下図)
  • 二式:軸の回転と逆方向に腕を回す
  • 三式:身体を上に上げて力を下に伝える
  • 四式:頭を振り上げた力を腕に伝え打ち出す

静止状態にある時、体全体で重心が釣り合っています。下半身の重心が後方に移動するなら、釣り合いを保つために上半身の重心は自然と前方へ移動します。この重心移動の力を腕に伝えて放つ当身が、陰の一式の当身です。

陰の技術を使う時に重要なポイントは二つ。一つ目は作用反作用は同時に発生するという事。何かを押せば(作用)押した瞬間と同じタイミングで同じ量の力を押したものから受けます(反作用)。そこにタイムラグがないという事を意識して、下半身と上半身を前後に弾けるように、くっつけた親指と人差し指がパッと離すようなイメージで全身を動かしてみましょう。

二つ目のポイントは力は接触点から伝わるが接触圧は重要ではないという事を意識することが肝要です。力強く押し付けて圧を高めずとも移動で生じた力は伝わります。力を伝えた結果、圧力が増すのです。そっと触れるように相手に近づいて重心を相手と逆方向に移動させる。そして創り出されたエネルギーを腕を通して相手に伝える。これだけです。

押すぞ押すぞ!と力んでしまうと、相手に力が伝わりにくくなります。そして動きだす瞬間、兆しを読まれてしまいます。合気道、IAM護身術において情報を遮断する事が技の基本。情報を発信する力みは捨てましょう

そして力みだけでなく腕力も不要。陰の技術は体重相当の鉄塊が動くエネルギーを相手に伝える技術です。50~60kgの平均的な女性が使用したとしても、50~60kgの鉄球がサッと動いてきたら…? このエネルギーを効率よく伝えるにはエネルギーが滞りなく流れる事が必要。力みがあれば流れはそこで止まります。脱力してエネルギーを流しましょう。

 

陰の技術と対をなす陽の技術についてはこちらの電子書籍で紹介しています。そのほかにも護身に役立つ技術(概要は下記参照ください)を紹介しているので、合気道、そして合気道をベースとしたIAM護身術の技術に興味を持っていただけましたら一読いただけますと幸いです。


合気道ベースの護身術 IAM護身術 基礎技法 骨の技術・皮膚の技術

書籍内容

  • 護身術の大前提 「相手の土俵で戦わない」、「情報を遮断する」
  • 相手と距離を確保するための牽制法と足運び
  • 微かな動きも捉え目の使い方「人形の目」
  • 体重と同じ重さの鉄球と化す 陽の一式を使った突き飛ばしと打撃
  • 回転軸の位置で効果激変 後ろから抱き着かれた時の対処法
  • 肩甲骨をずらせば人は倒れる 腕を掴まれた時の対処法
  • 皮膚は筋肉を騙す 秘伝「皮取り」
  • 気が付けば抜けている 掴まれて手の放し方
  • 攻防一体 肩甲骨で上腕を押し出す防御法