雑記

合気道は自分から戦わない? 実は兆しを積極的に潰す武道

争い

「合気道は自分から仕掛けていかない武道だから平和的でよい」という理由で娘さんに習わせていると仰る方に立て続けにお会いしました。

「そうですね。優しさが身につきますよねぇ。」と返しましたが、実は半分正解で半分間違っています。相手が攻撃してきてから何かしようとしても手遅れです。

反射神経、運動神経が相手を上回っていれば防御できるかもしれません。しかしそれは合気道ではありません。合気道は常に相手より先に仕掛けます。無慈悲に潰します。

ある意味で愛と平和とは真逆。といっても積極的に攻撃を加えに行くわけではありません。本記事では相手の初動を捉えるという事について紹介します。

攻撃を待つべからず

筆者もいまだに型稽古で受けの攻撃を待ってしまう事があります。攻撃は防いでから技をかけるという意識のせいでしょう。

しかし、攻撃の兆し・出だしを抑える事ができなければ連打連撃の餌食となり、合気道だけではやらる可能性がかなり高くなります。

他方、初動、否、初動の起こりの時点で相手の動きを封じると相手は連打できなくなります。体感して頂かない事には納得頂けないと思いますが事実です。

宮本武蔵は五輪の書の中で、枕の押さえという表現をしています。枕詞すなわち言葉の頭を抑えるという意。

敵何ごとにてもおもふ気ざしを、敵のせぬうちに見知りて、敵のうつという「うつ」の「う」の字の頭をおさへて跡をさせざる心、これ枕をおさゆる心也。

『五輪書』、火の巻より

 

動作の出だしを抑えてしまえば、続く行動は一切取ることはできなくなる。相手が攻撃してから何かをするのでは、全く話にならず、強い奴が勝つだけ。

なお筆者は現時点で井口流合気道三段ですが、合気道だけを使って闘う場合、素人相手でも初手をミスると厳しい状態に追いやられると思います。動きの兆しを捉える事が肝要です。

孫子と合気道

筆者の愛読書、中国の兵法書『孫子』の一節を合気道的な考え方に落とし込んでみます。まずは孫子

上兵は謀を伐つ(陰謀を破る)

其の次は交を撃つ(敵と連合国の関係を断つ)

其の次は兵を伐つ(敵軍を打ち破る)

其の下は城を攻む(本拠地である城を攻撃する)

攻城の法はやむを得ざるが為なり。

(中略)

故に善く兵を用うる者は、人の兵を屈するも而(しか)も戦うに非ざるなり。

(戦上手は敵を屈服させるが戦って実現するのではない。)

『孫子』謀攻篇 二より

これを合気道的な考えに翻案すると・・・

  • 謀を伐つ:相手に戦闘を始めようとする意思すら起こさせない
  • 交を撃つ: 戦闘意欲が削げないまでも、戦闘行為には至らず場を収める
  • 兵を伐つ :自分に向かってくる敵の攻撃に対応する。
  • 城を攻む:自分から敵に攻撃を仕掛けて打ちのめす

孫子、謀→交→兵の流れは「その次は…」と続けているのに、兵→城では「その下は・・・」と続けているのが興味深いですね。

いずれにせよ、相手が動き出してから行動を起こすようでは、謀や交を撃つ事は出来ません。せいぜい兵を撃つことが出来るだけ。

故に合気道では、専守防衛のために先制攻撃を心理的、空間的に仕掛けています。その一つが秘伝、勝速日(かつはやひ)です。

http://www.iguchiryu-aikido.com/2019/09/06/katuhayahi/

合気道は後出し武道か?

曰く!既に勝っている!これだけ!