健康体操

丹田強化と脱力の呼吸法

2020_1004_呼吸の表紙

丹田とは気が集まり、練られる体内の部位。物理的な存在ではなくイメージ上の部位ですが、丹田を意識する事で精神の安定、動きの調和、感覚の強化といった効果が得られます。本記事では丹田を強化しつつ、脱力と集中を両立させる呼吸法を二つ紹介します。

丹田について

丹田には下丹田、中丹田、上丹田の三つがあり、それぞれ次のような位置に存在し、各部位は中国医学で人の三宝とされている、精・気・神に対応します。

丹田 位置 強化により得られる効能 対応する三宝
下丹田 へそ下指三本分下 心身の安定 精:人体を構成する源
中丹田 胸の中心 心身の調和 気:生命活動(動的)の源
上丹田 額の中心 感覚の鋭敏化 神:思考や精神活動の源

以下で紹介する呼吸法では、筋肉や骨の動きとともに、丹田にも意識を傾けて行ってみましょう。吸う息と共に新鮮なエネルギーを各丹田に集め、吐く息と共に丹田から体内に広がっていくイメージです。

脱力呼吸(下丹田と中丹田)

脱力呼吸では横隔膜を上下させて行う下部呼吸(腹式呼吸)と、肋骨を拡大縮小して行う中部呼吸(胸式呼吸)をつなげて行います。まずは下部呼吸、中部呼吸を分けて練習してみましょう。

準備1:下部呼吸のやり方

  • 下腹にそっと手を当てて、吸う息と共にお腹を膨らませて、手を押し出す
  • 吐く息と共にお腹を凹ませて、手を自然にお腹の中に引き込む

慣れてきたら、お腹を横側、後ろ側にも風船のように膨張させていきましょう。お腹周りは骨で囲まれていないので、横隔膜が下がって押し下げられた内臓と腹の中の空間は、前後左右全ての方向に広がっていきます。

 

準備2:中部呼吸のやり方

  • 胸の横側にある肋骨にそっと手を当てて、吸う息とともに肋骨を広げ、手を押し出す
  • 吐く息とともに肋骨を狭めて手を胸の中に引き込む
  • 胸の中心にそっと手を当てて、吸う息とともに胸をやや斜め上に広げ、手を押し出す
  • 吐く息とともに手を自然に胸の中心へ引き込む

動きに慣れてきたら、吐く息の長さは、吸う息の長さの2倍になるよう、細く長い息を吐きましょう。息を吸う際、横隔膜と肋間筋は収縮し、筋肉を緊張させるので交感神経が優位になります。対して息を吐く際は横隔膜と肋間筋は弛緩、筋肉を脱力させるため副交感神経が優位になるのです。吐く息、細く長く、これが脱力の秘訣です。

脱力呼吸

下部呼吸と中部呼吸をつなげて行う呼吸法です。最初は両手を使って体の動きに意識を傾けながら行います。まずは、吸う息の長さを4カウント、吐く息の長さを8カウントにして説明します。慣れてきたらご自身の心地よいと感じる長さに調整していきましょう。

脱力呼吸

脱力呼吸のやり方

  • 右手を胸の中心(中丹田)、左手を下腹(下丹田)に添える
  • 吸う息の前半(1, 2)は下部呼吸、後半(3, 4)は中部呼吸を行う。腹→胸の順に膨らむ
  • 吐く息の前半(1~4)は中部呼吸、後半(5~8)は下部呼吸を行う。胸→腹の順に縮む
  • 手の温かさを感じつつ、丹田に呼吸が集まるイメージを持って行う
  • 慣れてきたら吸う息は鼻から、吐く息はストローに空気を送り込むように口を軽くとがらせて、糸を吐き出すように静かにゆっくりと吐くようにする

お腹と胸が同時に動かないように意識して行いましょう。吐く息の前半は、少しお腹に力を入れて、胸と一緒にお腹が凹んでいかないようにポジションをキープしておくのがポイントです。

 

蜂の羽音呼吸(上丹田)

蜂の羽音呼吸は頭蓋骨に響く音とその振動に意識を傾けることで、精神を鎮めていく呼吸法。瞑想や座禅の前に行うのに適した呼吸法です。振動を上丹田に響かせる意識で行ってみましょう。

蜂の羽音呼吸のやり方

蜂の羽音呼吸
  • 楽に座って背筋を伸ばす
  • 両手の親指を耳の穴に入れて、残りの指で目を覆う
  • 唇は間に薄紙が挟まっているように軽く触れ合せて閉じ、上下の歯の間は軽く開く
  • 「ンーーーー」とハミングして頭の中(上丹田)に振動を響かせる

 

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