完全脱力 ~合気の力を使うには~

1. 脱力

先週の皮取りの練習において、何度も相手の表面でぶつかる感覚があり、少々困惑してしまい、門下生の一人と、色々と試行錯誤を繰り返していました。しかし、皮取りの稽古は受けに回ると体力を消耗します。

疲れたので、ちょい休憩という事で道場の隅でごろっと横になり、ヨガの『屍のポーズ(シャバアーサナ)』をしていました。

すると、相手をしてくれていた門下生が、面白い事を教えてくれました。それは夜眠れない時に安眠する為の方法で、横になりつつ、「左腕が段々重くなって床に沈み込む、右腕が段々重くなる…」と体の各部に順次、自己暗示/催眠をかけるものでした。

試してみると大変心地よく、ふと、「この沈み込む感覚を技に使えね?」という話になりました。

 

脱力して相手の中に沈み込むイメージで皮取りを行ってみたところ、ぶつかる感覚が消え、さらには抵抗する意が出てこない皮取りができました。 (腕を脱力させつつ皮を取る動きを意識すると、意図せずして丹田で繋がる動きになっていたようにも思えます。)

相手をしてくれた門下生は三級なのですが、彼の皮取りもかなり質の高い皮取りになり驚きました。

彼自身も、「眠れない時にやっていたことが合気道に使えるとは」と感銘を受けていました。 これも「全ての点は線となり意味を成すという事なのでしょう。

人は、色々と遠回りしたり無駄な時間を過ごしたりする事もありますが、永い目でみるとどこかで活きてくるのだと思います。

 

2. 繋がる

脱力して相手の中に沈み込むイメージの続きで、繋がる感覚の話をしたいと思います。

これは骨の技術(物理学、人体構造の利用)に関連し、先述の皮取りとは少々異なる技術分野になりますが、”一体感”は重要な感覚と考え方であり、すべての技術において使用されます。

繋がる感覚を自分が感じられた瞬間、相手の方は「これはかなわない!」と感じ、訳の分からないうちに体を動かされたりします。

二人掛にて、左右の腕を二人の受けに両手で掴ませても、繋がる感覚を作った後、腕を気のライン(人体構造上最も効率よく力を伝えられるライン)に入れてしまえば技をかける事ができます。

 

さて、その繋がる感覚ですが、稽古をしていても、最初のうちはなかなか実感を得られないと思います。そこで簡単な一人稽古として、杖で壁と繋がるという稽古を紹介します。

 

繋がる感覚の稽古

  1. 杖を壁に接触させて軽く押す。この時、腕は縮めずに下腹(丹田)で押す。背骨を真っすぐ立てておく事。
  2. 壁の抵抗が丹田に流れる位置=丹田から杖を通して壁に力が伝わる位置を探り、  その位置を数秒キープ 。
  3. 何度か繰り返して感覚を覚えたら、杖の持つ位置か立つ位置を変えて同じことを行う。 (同じ位置で繰り返すと、感覚を研ぎ荒ませることなく機械的にやってしまうため。

杖がない場合は、手の平でも構いません。ただ杖を使うとより感覚が磨かるような気がします。

 

 

3. 交わり

脱力の項目で述べましたが、一見関係のない分野の考え方や技術が、自分が取り組んでいる事に活かせることが多々あります。そして、その取り入れる考えかや技術の巧拙は関係ありません。

往々にして、人は自分より下と見ている人や、異なる考え方の人の意見を参考にしなかったり、反発したりすることがありますが、常に謙虚な気持ちで、肩の力を抜いて脱力して生きたいものです。結局はその方が自分の向上に繋がると思います。

 

 

4. 最後に

井口流に興味を持たれましたら、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。稽古日時などの詳細はこちらをご参照ください。和歌山市内にて稽古中です。
楽しく読んでいただけていたらとても嬉しいです。