皮膚の技術(生理学)

相手の力を封じる合気道の技術 皮取り

合気道の醍醐味の一つは「力を使わずに相手を制する」事。前回までに紹介してきた運動エネルギーを伝える技法、陽の技術は筋力ではなく重力を活用するので、女性や年配の方でも、ある程度男性に対処できるようになります。

陽の技術の活用例とコツ(合気道および護身術)筋力に頼らずとも、重心移動で生じた運動エネルギーを効率よく相手に伝える事が出来るようになると、体格や筋力の差を縮められるようになります。...

ここで重要な点が一つ。対処できるようになるのであって、力に対抗できるようにはなりません

合気道は「戦わない」と言います。私たちは合気道を用いた護身術道場をやっているので、戦う事は否定しません。されど「相手の土俵で戦わない」「正々堂々と戦わない」事を非常に重要視しています。

陽の技術を用いてもタイミングを読まれれば跳ね返されていまします。ではどうすればよいのか?力に対抗せず、対処する方法とは?答えの一つが、相手に自らの体に加えられている力の方向を誤認させ、正しく力を発揮できなくする技術、「皮取り」です。今回は皮取りの基礎を紹介します。

皮取のやり方

文字通り皮を取るかの如く、相手の皮を引っ張るだけです。ただし、相手の力とぶつからない方向に引っ張る事、そして手の平で行う場合は掴むのではなく、引っ掛けて引っ張る事が重要です。

なぜ皮を引っ張られると正しく力が認識でき成るのでしょうか?人間の筋肉中には筋紡錘という筋肉にかかる張力を感知するセンサーが備わっています。そして筋肉の伸び縮みの状態に応じて、出力を適切にコントロールしてバランスを維持しています。皮取りではこの筋紡錘を騙すのです。

一例として腕と腕がぶつかった場合を考えてみましょう。下図①では青の矢印で下向きに腕を押そうとしています。通常なら赤の矢印のように青矢印とぶつかるように力を出します。

ところが皮(とその下の筋膜)、を引っ張ってあげると、腕は相手の脳は抵抗すべき方向を誤認します。相手の腕は下向きに押そうとしているのに、筋紡錘にかかる力はその向きと直行している。これが脳の混乱を招き、相手は100%の力が出せなくなるのです。この状態を維持しつつ、腕ではなく体全体で運んであげると相手の腕を動かす事が可能です。

皮取の方向

…と、言うは易く行うは難し。長年の人生経験で染みついた感覚というものはなかなか消えないもので、力には力で抵抗しがち。いかにして戦うことなく勝つか?戦うことなく己の意を通せるか?

戦うための技術、武道。突き詰めていくと戦わない方法や感覚を模索する事に・・・本当に面白いものですね

人を動かすには?

曰く!ぶつからない様、自分が動く!これだけ!